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東京地方裁判所 平成6年(特わ)1816号 判決 1994年10月28日

本店所在地

東京都板橋区泉町一三番九号

北岩建設株式会社

(右代表者代表取締役 佐々木光浩)

本籍

岩手県下閉伊都岩泉町釜津田字釜沢三七番地二

住居

東京都板橋区高島平一丁目二二番四号

会社役員

佐々木稔

昭和一三年三月二三日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官林享男、弁護人宮崎孝各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人北岩建設株式会社を罰金一五〇〇万円に、被告人佐々木稔を懲役一〇月に処する。

被告人佐々木稔に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人北岩建設株式会社(以下「被告会社」という。)は、東京都板橋区泉町一三番九号に本店を置き、土木建築工事請負等を目的とする資本金三五〇〇万円の株式会社であり、被告人佐々木稔(以下「被告人」という)は、平成四年九月二五日まで被告会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空労務費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八三二一万四〇九七円(別紙1-1修正損益計算書及び1-2修正完成工事原価報告書参照)であったにもかかわらず、平成元年一一月二九日、東京都板橋区大山東町三五番一号所在の所轄板橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二〇六六万四三四三円で、これに対する法人税額が七四二万二八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三三六九万三八〇〇円と右申告税額との差額二六二七万一〇〇〇円(別紙2ほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七三四九万九九九六円(別紙3-1修正損益計算書及び3-2修正完成工事原価報告書参照)であったにもかかわらず、平成二年一一月二九日、前記板橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一八一五万〇六六〇円で、これに対する法人税額が一九八万〇八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二四一二万〇四〇〇円と右申告税額との差額二二一三万九六〇〇円(別紙4ほ脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成二年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六一六〇万三〇五一円(別紙5-1修正損益計算書及び5-2修正完成工事原価報告書参照)であったにもかかわらず、平成三年一一月二五日、前記板橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一六六八万七七五五円で、これに対する法人税額が五四七万六八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二二三二万〇三〇〇円と右申告税額との差額一六八四万三五〇〇円(別紙6ほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書五通

一  吉澤良幸(七通)、峰脇久行、長崎宗充、木村宏及び佐々木雅子の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の労務賃金調査書、交際接待費調査書、雑費調査書、雑収入調査書、交際費等の損金不算入額調査書、事業税認定損調査書及び領置てん末書

一  検察事務官飯村昌之作成の捜査報告書三通

一  登記官作成の登記簿謄本及び閉鎖登記簿謄本

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の当期外注費調査書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成六年押第一三一八号の1)

判示第二及び第三の各事実について

一  大蔵事務官作成の雑損調査書

判示第二の事実について

一  検察事務官佐野周二作成の捜査報告書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(同号の2)

判示第三の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(同号の3)

(法令の適用)

一  罰条

1  被告会社について 判示各事実につき、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項(判示第一及び第二の各事実の罰金刑の寡額については、いずれも刑法六条、一〇条により平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項による)

2  被告人について 判示各所為につき、いずれも法人税法一五九条一項(判示第一及び第二の各所為の罰金刑の寡額については、前同)

二  刑種の選択

被告人について いずれも懲役刑

三  併合罪の処理

1  被告会社について 刑法四五条前段、四八条二項(各罪の罰金額を合算)

2  被告人について 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

四  刑の執行猶予

被告人について 刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社・罰金二〇〇〇万円、被告人・懲役一〇月)

(裁判官 中里智美)

別紙1-1

修正損益計算書

<省略>

別紙1-2

修正完成工事原価報告書

<省略>

別紙2

ほ脱税額計算書

<省略>

別紙3-1

修正損益計算書

<省略>

別紙3-2

修正完成工事原価報告書

<省略>

別紙4

ほ脱税額計算書

<省略>

別紙5-1

修正損益計算書

<省略>

別紙5-2

修正完成工事原価報告書

<省略>

別紙6

ほ脱税額計算書

<省略>

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